[ISO15189] 品質マニュアルについて

先日、がんゲノム中核病院の指定要件が大筋で決まったというニュースが流れました。

実際に患者さんと接して診療を行うがんゲノム連携拠点病院においても検体を中核病院ではない外部へ委託する場合、その委託先は、「遺伝子関連検査の品質・精度管理に係る基準」を満たさなければならないことが義務付けられます。

本年、2017年6月に交付された医療法等の一部を改正する法律(内閣提出第57号:平成29年6月14日交付)に関連し、第1回検体検査の精度管理等に関する検討会が2017年10月27日に開催されました。

この中で、遺伝子関連検査の品質・精度の確保については、2016年10月の「ゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォース」意見とりまとめにも言及し、諸外国と同様の水準を満たす遺伝子関連検査の品質・精度のあり方について検討を行うことが確認されました。

検体の分類についても、一次分類に「遺伝子関連検査・染色体検査」が新設されました。
二次分類についても、衛生検査所の登録基準として必要な機器・設備・備品や、ブランチラボにおいて備えるべき機器を定めるための詳細区分として見直す必要があるとし、新設の「遺伝子関連検査・染色体検査」においては、病理検体を用いる体細胞遺伝子検査以外について、病原体核酸検査、体細胞遺伝子検査、生殖細胞系列遺伝子検査、染色体検査が設定される案が提示されました。

病理検体を用いる体細胞遺伝子検査については、研究班報告書においては、以下の2つの案が示されました。
・病理学的検査から独立させるべきでないとする案
・独立させるべきであるという案

検討資料の中で下記のように記述されており、独立させる案に落ち着きそうです。

今後急速に臨床現場に普及すると考えられる遺伝子関連検査については、微生物学的検査、血液学的検査、病理学的検査の3分類にまたがり、遺伝子関連検査の特性に応じた合理的な構造設備基準を設けることが必要であるとして制度改正を行ったところであり、病理学的検査における体細胞遺伝子検査を含めて「遺伝子関連検査」の一つの分類として、衛生検査所における必要な検査機械器具、検査室の面積及び配置人員を同一の分類の中で整理することが合理的である

現在の検体検査の精度管理には、医療機関、委託業者(医療期間内、衛生検査所)ともに、品質・精度管理の基準について明確な法律上の規定がないため、「厚生労働省の定める基準」を作成することが急務です。

上記で引用した検討資料の記述に「今後急速に臨床現場に普及すると考えられる」と言及されていること、質保証の国際的基準であるISO15189等と資料に記述されていること等から鑑みると、「厚生労働省の定める基準」は、ISO15189またはその類似に決まることに、ほぼ間違いないと思われます。

ISO15189認定取得を目指すにあたって「品質マニュアル」を作成することが必要不可欠です。
ここでいう「品質マニュアル」は、品質マネジメントシステムの全体像と言い換えることができます。

つまり、検査を実施する方針・手順を定め、文書化し、(実行し、)決定どおりに実行されているかを確認し、実施結果を証拠として記録し、必要があれば方針・手順を見直し改善する方法を記述したものです。

品質マニュアルは、それを読むことによって各担当者が各々の責任と義務を理解し、ユーザーは提供するサービスの信頼性が判断できるもの。そして品質マニュアルに従って作業を実行することによりトレーサビリティが保証されるものであらねばなりません。

弊社が提供するソフトウェア「Carly」を用いた工程管理では、あらかじめプロトコールとして作業工程を雛形化します。実際に作業するときは、そのプロトコールから自動作成されるSOP(標準作業手順書)に従って進めますので上記の「品質マニュアルに従って作業を実行」が保証されます。

また作業を進める中で、結果情報が自動的に収集され、報告書が作成されますので、トレーサビリティも保証されるのです。

この機会にぜひ、卓越したトレーサビリティを体感して頂きたい。

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病院等の中で検体検査を行う場合の施設の構造設備等に関する基準の創設、衛生検査所等において行われる検体検査の精度の確保に関する基準の明確化の措置を講ずるほか、検体検査の分類は厚生労働省令で定めることを規定すること
内閣提出第57号(平成29年6月14日交付)より抜粋