これからの経営と業務のあり方 ReCentソリューション

 
2004.05.13

第1回「企業への直言」

 企業が新しいビジネスシステムを導入する場合、通常、前段階として関連事業部または部門(情報システム部門も含め)で起案→企画→稟議→予算承認という社内手続きがあり、その後、要件仕様のまとめ、ベンダーの調査(はじめから知っているという理由だけで絞ってあるケースが多い)→オファー(RFP)→要件提示→選定→決定→詳細交渉→契約締結といった社外への手続きへと進み、プロジェクトオープン(キックオフ)を迎えることとなる。当然のことながら、プロジェクト評価は発生部署のみ可能なことである。かたや、システム構築プロジェクトの詳細について知り得ない理由からも、トップマネジメント(ボードメンバー)や部門管理者は自社の特定部署に任せ切りにせざるをえない。
 構築システムの実務運用部署でない社内選定権限部署が各方面ベンダーと折衝したところで、各社に対して正確な評価が可能であろうか?
 答えは「NO」である。
 理由はシンプルである。セールス側はネガティブな事実は一切公表しないので、各ベンダーのセールスアプローチに潜むネガティブな部分をユーザー側の社内部署が見抜くことなどできないからだ。結果、彼らが既成概念でベンダーを選定すると同時に、プロジェクト終了後、早ければ数か月後に、コストの無駄づかい、時間と労力の浪費……という不幸な結末を迎えるリスクを取ることとなる。
 大手ベンダーによる一方的セールストークとセールスレポートを受けての評価→決定。これでは、チェック手続きが入る余地がない。また、非常に残念なことだが、社内権限者は自らの権限弱体を阻止しようとするあまり、第三者のチェックを排除したり、第三者の報告を改ざんして上層部に上程するケースが後を絶たない。
 こうした事態を避け、ベンダー選定において落とし穴にはまらないためには、トップマネジメントと、プロジェクト責任者は、以下のことに留意するよう進言する。

トップマネジメメントへの直言
  1. プロジェクト権限者を主管職務というだけで特定部署メンバーのみに権限を与えているならば、第三者メンバー(社外)に権限者の手続きを補正補完させる体制を整え、正しい情報の収集のためにも、第三者メンバーとの直接のコミュニケーションラインを敷くことを勘案する。この場合、第三者メンバーの選定が必須となるため、努力を払って調査し、独立性と事実上の実績/スキルでメンバーを外部から選定すべきでしょう。
  2. 第三者メンバーによる評価/最適化立案に要するコストは一人ないし二人で十分であり、長期間を要する性質の作業ではない。
    また、その後支出するプロジェクトへのトータルな予算からすると微少であり、トータルコストの無駄化のヘッジ効果に大きな貢献をもたらす。つまり、「10億の買い物を無駄にしないために2〜3千万の投資は価値あるもの」を認める。

 プロジェクト開始後、選定したベンダーのスキル・意思が期待できないと認識しても、プロジェクト選定権限者および社内のプロジェクトリーダーは、担当ベンダーからの依存脱却をすることは非常に困難である。“任せた以上、任せるしかない”というコメントも一見正論そうであるがそうではない。許容を重ねようともできないものはできないのであり、できる(クローズする)との希望的観測は、時限という制約がないプロジェクトは別として自らの選定責任の放棄以外の何物でもない。幸い、個々の作業領域単位では要件を満たすケースが多く、全体をプランニング、コントロールし、ユーザーメンバーとともに明確に調整修正し、各ケースでのソリューションを行うナビゲーターの参画で立て直しが可能となるケースが多い。
 そこで、プロジェクト責任者には、以下のことを考えてもらいたい。

プロジェクト責任者への直言
  1. 過去を責める必要はなく、最終的にできるかできないかである。もし、この先の道程を懸念した場合、躊躇せず行動を起こす必要がある。正確な状況判断は、各リーダーからの督促情報(当事者であり自らの非は認めにくく、真実は語りにくいもの)を元に行うため、不可能に近い。
  2. 最終的に補強またはテコ入れの必要性を認めた場合、安直な選定に入ってはダメである。会社間の契約となるため、“この要件だからあそこ”では、到底おぼつかない。なぜなら、“作業は会社が実施するものではなく、やるのは個人である”からだ。「実績は会社の公開情報」、「仕事は個人」では、発注要件と納品仕様の同期が取れないことを意味する。

 経営活動はPDCAという循環型マネジメントが基本。
 一方、プロジェクトは、PDC(C=クローズ)という時限付通貫型作業に位置し、評価→反省→次回への補正などのような性質のものではなく、ひとつずつ作業をクローズし、その積み重ねでプロジェクトは成功へと導かれるのである。一部の人々の言葉の遊びや内容の伴わない知的欲求の材料にするようなものではなく、大きな投資をもとに会社がより良くなるための全社命題なのであり、社外も社内も関係なく一丸となってプロジェクトゴールへ向かうため、双方が有効に能力を発揮できる環境と道筋を正規化する行動が重要なのである。この行動チェックと強いリーダーシップを持つ者にプロジェクトが任されているのかを再度、チェックしていただきたい。

文山 伊織

 
 
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